夜風のMixedReality

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ロービジョンとMixedReality まとめ ~KumamotoHoloLensMeetupで登壇してきました 後半~

 先日オンライン上行われた[Kumamoto HoloLens ミートアップ vol.6(オンライン開催) ]というイベントで登壇をしてきました。

 今回はまとめ記事です。

 #### 〇Kumamoto HoloLens ミートアップとは?

   熊本を中心に活動するグループ、KumaMCNのHoloLensに関する知見やわくわくを共有したり、「HoloLensってこんなにすげぇんだぜ!」ということを感じることができるイベントです。

 HoloLens 2がリリースされた年明けから毎月のペースで行われているイベントで、今回Vol.6とはついていますが、HoloLens 1st時代にもVol.0、Vol.0.1、Vol.0.001があったとか

 今回COVID-19の影響によりオンライン上での開催になりました。

youtu.be

〇ロービジョン×MixedReality

 今回私は[ロービジョン×MixedReality]というテーマで登壇をしてきました。

 きっかけはロービジョンの友人だったのですが、今回2名の方に協力していただき実際の駅でHoloLensをかけて音を頼りに歩いてもらう実験を行いました。

 前回の記事で実際にどのようなことを行ったかは紹介しました。

[redhologerbera.hatenablog.com

今回は結果と考察になります。

〇実験の結果

●実験

 2020年2月7日の午前中、北千住駅の改札付近で行いました。

 まず、私がHoloLensをかぶりSpatialMeshに合わせ5つの音源を現実の壁や障害物に合わせ配置しました。

 そのままHoloLensを2名のロービジョンの協力者にかけてもらい、音を頼りに歩いてもらいました。  

●結果

 今回体験いただいた二人の方はどちらも音を頼りに障害物を避け、目的の音源(ゴール)へと歩けました。白杖などのほかの支援ツールなしに

 このことは予測できたのですが、やはりHoloLensのSpatialAwarenessとSpatialSoundの有用性を感じます。

 HoloLensのSpatialAwarenessはcm単位の誤差は生じるため、建設業など精度の要求される現場では難があるといわれます。

 しかし、今回の場合cm単位の精度はもとめられないため 成功しました。

 環境なども大きく左右される為今後の実験が必要ですが、HoloLensは十分ナビゲーションに用いることができるという結果になりました

●ディスプレイは必要か?

 この実験を行う前日に以下の記事を読みました。

techcrunch.com

 ここではカスタムHoloLensという表記が使用されています。

 写真を見るからにレンズ部分をカットしたHoloLensであるようです。

 HoloLens1stは重心に難があり、着用しているとすぐに不快感に襲われます。 こういった面からもレンズ部分をカットしたのかもしれません。(写真はあくまでイメージ画像の場合が高いですが)

 ロービジョンの方にディスプレイは必要?

 この疑問をもって今回の実験に挑みましたが結果は

 ロービジョンの方であってもだれであってもディスプレイは必要である。もし不要という個人がいた場合カスタマイズできれば良い!

 という考えになりました。

●何かが見える

 今回体験いただいた二人は全盲と診断されているといっていました。ですが、今回音源のSphereにたどり着けただけではなく、手で触るように「ここに何かある」と言いました。

●二つの失明

 視覚障害といわれる中にも様々な種類があってその見え方は一人一人違いがあるでしょう。しかし大きく二つの失明があるそうです。

 ・医学的失明→光を全く感じることができない状態

 ・社会的失明→視力が0.1以下の状態

 光を感じることができるという人は多いようで、今回の2名の方もHoloLensのディスプレイの光を認識できました。

 モノをモノとしてとらえることが出来なくても何も見えないわけではない。

 今回の実験で私が感じた自分自身のステレオタイプです。

 盲導犬を連れている方や白杖をついている方でサングラスをかけている方はよく目にすることがあります。この場合目を合わせるなどのコミュニケーションにかかわる面をカバーする意味もあるそうですが、太陽などの光からまぶしさを抑えるという意味で着用している方も多いようです。

〇ロービジョン×HoloLensにできること

 いま、困っていることは?という質問に対しての答えは「周囲の環境を想像できない状況での移動」と言っていました。

 もしHoloLensでSeeingAIのように周囲の状況を読み上げてくれるだけではなく、看板や信号を認識してディスプレイを光らせるなどサインを送ることができれば、それだけでできることは数十倍になるでしょう  

〇今回のまとめ

 ・視覚障害には社会的失明、医学的失明があり光を感じることができる人は多い。

 ・ロービジョンとは、日常生活で不便を抱える視力低下の状態・人

 ・HoloLensのSpatialAwarenessとSpatialSoundでナビゲーションができた。

 ・ディスプレイは視覚障害だからといって不要ではなく、使い方次第でHoloLens固有の支援ができる。

 ・新しいHoloLensの可能性を見つけた!