夜風のMixedReality

xRと出会って変わった人生と出会った技術を書き残すためのGeekなHoloRangerの居場所

Varjo XR-3× Blender3.0で肉眼レベルの高精細レンダリングを行う。 Blender アドベントカレンダー 7日目

本日はモデリング枠です。Blender アドベントカレンダー7日目の記事でもあります。

先日Blender3.0がリリースされましたが、VR機能の強化としてVarjo XR-3の高精細レンダリングをサポートするようになりました。

今回はXR-3で試していきます。

Blender Adventカレンダー2021

Qiita上で12月に展開されているAdventカレンダーで、Blenderをテーマに開催されています。

qiita.com

筆者は初めて参加します。

〇Varjo XR-3とは?

Varjo XR-3 はVarjo社が開発、展開するハイエンドxRデバイスです。

特徴として肉眼レベルとも呼ばれる8kのディスプレイを備えており、ほかのデバイスをはるかに上回る描画を実現します。

 その代償としてスタンドアロンxRが主流になりつつ業界内でもハイエンドデスクトップPCと接続することで初めて使用できるほか、そのPCに求められるスペックもNVIDIA RTX-3080が最低スペックというもので、個人では手を出すことが非常に難しいデバイスです。

 まさにコンシュマーではなくビジネス用途に展開されているデバイスですが、将来的に小型化、コードレス化、低価格化が行われ次世代のスタンダードとなりゆるデバイスです。

varjo.jp

〇環境

今回は次の環境で動かしています。

Windows 10 PC

・CPU:Intel Core i7-10700

GPU: NVIDIA A6000

・メモリ:32GB

Blender 3.0

〇実機での動作動画

装着しているデバイスがxR-3です。PCのディスプレイにはVRバイスで見えている映像をミラーリングしています。

www.youtube.com

Blender 3.0に関して

Blender 3.0は先週(12月4日)に正式にリリースされた20年ぶりのBlenderのメジャーアップデート版です。

 主な変更点は以前の記事にしています。

 

redhologerbera.hatenablog.com

 

VR Session

VR SessionはBlender2.x時代に導入されたVRビューモードです。

Oculus Quest(Link)、Vive、Windows MR等のPCと接続することができるHMDBlender内のオブジェクトを閲覧できるビューです。

Varjo XR-3ではOpenXRを使用することができるため3.0以前でもVRビューが可能でしたが3.0で正式にサポートが入り、デバイスの性能を十分に発揮できるようになりました。

Varjo XR-3でのVR Sessionの方法は次のようになります。

①XR-3を接続する。

XR-3はディスプレイポート2つ、USB3.02つを使用します。またPCとは別途に電源を2つ必要とします。

②Varjo Baseを起動

Varjo BaseはVarjoデバイスをサポートするポータルです。 接続しているデバイスを管理、それぞれの機能を提供します。

XR-3の場合は[EyeTracing]のキャリブレーションを行うことができます。 デバイス装着者に応じて瞳孔間距離を調整、目線取得が可能です。 XR-3では肉眼レベルでの描画表示に必須の工程です。

Blenderを起動

Blender3.0を使用しています。

④[VR]タブを展開[Start VR Session]を押します。

f:id:Holomoto-Sumire:20211207091626p:plain

3Dビューに[VR]タブが表示されていない場合は[Prereference]画面からアドオン→[3D View :VR Scene Inspection]にチェックを入れ有効化します。

f:id:Holomoto-Sumire:20211207091357p:plain    VRバイスが接続されている状態で実行することでVRバイスBlenderの画面が描画されます。

   実行時のカメラの位置はBlenderの[Camera]の座標になります。 回転に関してはBlenderの絶対座標に対してVRバイスの回転角になるためデフォルト値から特に修正する必要はありません。

 

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〇コントローラー

 Blender3.0以前との大きな違いとしてxRデバイスのコントローラー操作を受け付けるようになった点です。

 以前はxRデバイスのユーザーの動きにのみ対応しており、大きな距離の移動などを行うためには[Camera]を[G]キーで移動させる必要があります。

 しかしこれらの操作を行うためにはxRデバイスを外し、PCの画面とキーボードを見て行う必要があります。

 今回のcontroller対応によってBlenderVR空間内で移動やスケールの変更などが行えるようになりました。

 

残念ながらXR-3の高精細さは肉眼で体験しないと伝わらない部分が大きいですが、ここではスマートフォン(iPhone 12ProMax)のカメラを直接xR-3のディスプレイに当ててみました。

 OculusQuestなどを体験したことがある場合この直どりのイメージでもその美しさが想像いただけると思います。

 現在はVRバイス側からのインプットは移動系のみとなっていますが、今後VRバイスを装着したままでBlender内でモデリングが行える日も近いと感じます。