夜風のMixedReality

xRと出会って変わった人生と出会った技術を書き残すためのGeekなHoloRangerの居場所

Tokyo HoloLens Meetup Vol.32LT登壇資料

本日はイベント枠です。

昨日TokyoHoloLens Meetupに参加をしました。

イベント自体のレポートに関しては昨日記事にまとめております。

redhologerbera.hatenablog.com

本日はHoloLens Meetupイベント中に筆者が登壇したLTに関して紹介します。

〇LT大会

LTでは7名のHoloRangeが5分ほどの短い枠で登壇を行いました。

筆者は二人目の登壇で、毎回恒例のMRGTを中心に発表しました。

〇What's MRGT?

 MixedRealityGraphicsTools(MRGT)はMicrosoftによって開発、提供されているxRアプリケーション開発用のSDKパッケージ群MixedRealityToolkit3(MRTK3)のパッケージの一つです。(※後述のMRTKチーム解散に関しても参照ください。)

 GraphicsToolsの名でわかるようにグラフィックに特化してXRでパフォーマンスを維持しつつという前提のもとシェーダーシステムを中心にUnity内で開発者が使用するためのエディタツール、拡大鏡ツールやぼかしなどxR内でのアクセシビリティツールなど描画周りにかかわる非常に多くのツールが提供されています。

 先日新しいパッケージのバージョンとしてv0.5がリリースされました。  

〇v0.5の新機能

 v0.5に関する新機能に関しては現時点でリリースノートがありませんので公式のドキュメントは存在しませんが、筆者のドキュメントがありますので参考にしてください。

redhologerbera.hatenablog.com

 LTでは主に3つの機能を紹介しました。

・拡大鏡機能

拡大鏡機能はアクセシビリティの観点から開発された機能です。

URP限定ではあるもののHoloLensだけでなくVRやUnityでも使用できます。

redhologerbera.hatenablog.com

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・トゥーンシェーディング

 トゥーンシェーディングはアニメ表現などに使用されるシェーディング方法です。

 MRGTでは物理的なライティングの機能が実装されていましたが、今回のバージョンからNon-PhotorealisticRendering(非現実的レンダリング)の機能が追加されました。

 この機能は他のMRGTで提供されているシェーダーの機能と競合せず使用することができます。

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将来的にUnityChanToonShaderに並ぶシェーダーシステムの開発を行いたいです。

・DistantLight

 UnityではDirectionalLight以外のランタイムライトを配置することはパフォーマンスの面で高負荷と呼ばれています。  DistantLightはC#ベースのMRGTシェーダーに対してのみ有効なライティングシステムです。

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〇MRGTリーダーのCameronMickaさんから日本のHoloRangerに向けたスペシャルメッセージ

 今回の登壇に際してリーダーのCameronさんにメッセージをいただけないかというお願いをしたところ快く引き受けていただき1分30秒のメッセージをいただきました。

  youtu.be

動画内では筆者を含む日本のコミュニティの活動への感謝、MRTK3とMRGTの新機能に関する話題が共有されました。

 後述のMRTKチーム解散というショッキングな話題が流れていた翌日であったため参加者のHoloRangerを中心に非常に励まされました。

〇MRTKチーム解散に関して

先日1月17日以降1万人規模で行われているMicrsoftレイオフの対象にMRTKチームも含まれてしまったようで、事実上の解散が発表されました。

MRTKで毛ではなVisualStudioベースでネイティブアプリケーションとして開発することができるSteroKitのリーダーであるNickさんも対象に含まれてしまったようで、同じくMicrosoftを去るようです。

レイオフ自体が企業の業績不振による人員整理を目的とした一時解雇という前提であり、業績次第では再雇用が行われます。

 またMRTK自体はGitHub上で筆者を含め多くのMicrosoft社外の開発者もかかわるOSSの形で開発が行われているためMRTK自体が消失やサポートされなくなるというわけではありません。

 しかし、懸念される問題としてMicrosoft社としてのリソースが割かれない可能性があり、これは新機能の開発やパフォーマンスの改善、バグの修正などの進行が滞る可能性があることを意味しています。

 レイオフの対象となったMicrosoftのMR関連の社員の方の多くは組織に関係なくxRに関わっていくといういう姿勢のようです。

また、MRGTのリーダーであるCameronMickaさんはMicrosoftに残られるとのことで、筆者と合わせMRGTからMRTKを盛り上げていきたいと思っています。