本日は3Dモデリングのための調査枠です。
近年インターネット上で様々なデータを入手することができます。
その中でも特に価値のある公共データをオープンデータと呼ぶことがあり、シュミュレーションやAIの学習データとしても用いられています。
今回はNASAの公開しているデータを使用して惑星の位置関係を計算していきます。
〇NASA HORIZONS
NASA HORIZONSはカルフォルニア州パサデナにあるカルフォルニア工科大が管理しているNASAのJet Propuration Laboratory(ジェット推進研究所)が提供する太陽系オブジェクトに対する計算を提供するサービスです。
Appタブを選択することでチュートリアルを開始することができます。
1,2,3,4,5のUIに従って設定することで天体の位置を計算するエフェメリスを生成できます。
1 Ephermeris Tpye:
Ephermeris(エフェメリス)は先に述べた通り天体の位置を計算するものです。
Observer Table,Vector Table,Osculating Orbital Elements,Small-Body SPK File
の4つの設定が選択可能です。
Observer Table
観測者向けのエフェメリスで、観測に必要な量(例えば赤経や赤緯)を提供 これは、天体の位置、動き、観測可能性を時間の関数として数値的に特徴付けるものです
Vector Table
直交座標系(例えば特定の参照フレーム内のxyz座標)の表を提供
これは、一つの天体に対する別の天体のベクトルまたは摂動軌道要素の表を生成し、時間の関数として相対運動と軌道幾何学を特徴付けるものです
Osculating Orbital Elements
摂動軌道要素の表を提供。
一つの天体に対する別の天体のベクトルまたは摂動軌道要素の表を生成し、時間の関数として相対運動と軌道幾何学を特徴付けるものです
Small-Body SPK File
小天体のSPK(Spacecraft and Planet Kernel)ファイルを提供する。 SPKファイルは、対応するSPICE Toolkitリーダーを組み込んだ既存の視覚化、アニメーション、ミッション設計ソフトウェアで使用できます
今回はBlenderで後々使用したいためVector Table
を選択します。
〇Target Body
Target Bodyは目標とする天体です。
Edit
を選択することで編集が可能です。
〇Observer Location
観測値です。初期値でGeocentric
が設定されており、これは地球の中心を意味します。
〇Time Specification
データが欲しい期間を選択します。今回は本日から以下月分のデータを取得してみます。
最後にGenerate Ephemeris
を選択します。
これによってデータが提供されます。
〇データの中身
ダウンロードしてデータを確認します。
データ冒頭部には計算に用いられる地球物理学データが定義されています。つまるところの定数の定義です。
次のブロックではエフェメリスのヘッダーデータとしてデータ作成日とターゲット、観測地、期間が返されています。
次のブロックでは観測点情報です。今回は地球の中央のため地球のデータが使用されています。(余談ですが地球は真球ではなく楕円形と聞いたことがありますが数値データとして確認できます。)
最後に求めていた実際のデータが提供されています。
日付ごとにブロック化されており例えば本日のデータは以下になります。
2460364.500000000 = A.D. 2024-Feb-24 00:00:00.0000 TDB X =-3.498943558927139E+05 Y = 2.043133011708194E+05 Z = 2.508389402163141E+04 VX=-2.293352495399717E-01 VY=-1.067704178947807E+00 VZ= 4.631386451913461E-02 LT= 1.354118992999153E+00 RG= 4.059546613357008E+05 RR=-3.368389059363829E-01
それぞれにコメントをつけると次のようになります。
//天文学的日付と時間 TDBは太陽系重心力学時を意味 2460364.500000000 = A.D. 2024-Feb-24 00:00:00.0000 TDB //地球から見た月の位置を示す直交座標(単位はキロメートル) X =-3.498943558927139E+05 Y = 2.043133011708194E+05 Z = 2.508389402163141E+04 //地球から見た月の速度を示す直交座標系 VX=-2.293352495399717E-01 VY=-1.067704178947807E+00 VZ= 4.631386451913461E-02 //光が月から地球に到達するまでの時間 LT= 1.354118992999153E+00 //地球と月の距離 RG= 4.059546613357008E+05 //地球から見た月の距離の変化量(キロメートル/秒) RR=-3.368389059363829E-01
つまり24年2月24日本日現在は月と地球は40万5954.6613357008キロメートル離れているということがわかります。
以上で公開データから惑星の位置関係のデータを取得できました。
本日は以上です。このデータを使用してモデリングなどができそうです。