本日は3DCGのフォーマットについての記事になります。
3Dモデルのファイル拡張子のフォーマットには様々なものがありますが、多種ソフトウェア間で標準的に互換を持ってインポート、エクスポートができるものとしては,fbxや,obj、.glbなどがあります、
今回はその中のUSDZについて深読みしていきます。
〇USDZとは?
〇概要
USDZはUniversal Secen Description(USD)
と呼ばれるフォーマットの非圧縮、非暗号化のZipアーカイブです。
開発元はピクサーとAppleとなっており、特にAppleではARKitやVisionProの登場とともにARのサポートが充実しています。
半面24年現時点ではWindowsやAndroidではネイティブのサポートがされていません。
特徴として非破壊的に編集することが可能であり、3Dシーンの作成、編集が容易になります。
〇保持できるデータ形式
USDZ自体は前述のとおり、USDの非圧縮Zipアーカイブです。
そのためデータとしてはUSDデータおよび画像(png、jpeg、exr)、音声(M4A,Mp3,WAv)を保持できます。
またUSDフォーマットが保持できるデータは次のようになります。
データの種類 | 説明 |
---|---|
ジオメトリ | メッシュ構造 |
シェーディング | マテリアルデータのスキーマ |
スケルトン | リグデータのスキーマ |
アニメーション | キーフレームアニメーション |
ライティング | ライト情報など |
〇ゲームエンジンでの対応
Unity及びUnrealEngineともにネイティブでサポートしています。
〇Alliance for OpenUSD(AOUSD)
2023年8月にApple、Autodesk、Adobe、ピクサー、NVIDIAがLinux FoundationとともにUSD規格の開発、成長、進化とともに標準化を目的としてAlliance for OpenUSDと呼ばれる組織を発表しています。
これはOpenXRやOpenGL ESなどのように標準化を目指す規格とその運営組織と同じようなイメージで正しいです。
また、OpenXRやOpenGL ESを管理しているKhronos GroupはOpenUSDに対して23年12月にコラボレーションを発表しています。
この中でKhronos Groupはメタバース空間に対しての標準規格としてGLTFとともにOpenUSDを進化させていく必要性について触れています。
このコラボレーションの発表は単なる合意だけではなく3D空間の作成ー配信のシームレスさの実現の可能性について触れています。
〇他フォーマットとの比較
今回はWeb系などで汎用的に使用されるGLTFと比較します。
USDZ | GLTF | |
---|---|---|
目的 | 大規模かつ腹圧なプロダクションを対象、アプリケーション間でのコラボレーション | 3Dアセットの効率的な保存と高速な転送 |
ジオメトリ | 〇 | 〇 |
マテリアル | 〇 | 〇 |
リグ | 〇 | 〇 |
アニメーション | 〇 | 〇 |
ライティング | 〇 | 〇 |
物理演算 | 〇 | 〇 |
ファイルサイズ | ファイルサイズがやや大きい | データの圧縮により小さなファイルサイズを実現 |
〇USDZを使用してAR体験を行う
USDZの形式のファイルはiOS上で開くことで、ARとしてのビュアーが使用できます。
これは特別なアプリケーションを入れる必要はなく、OSレベルで提供されている機能になります。
USDZのファイルをiPhone上で開くことでオブジェクトとしての3DビュアーのほかにARの機能を使用できます。
床に対してオブジェクトを配置し、スワイプやピンチを使用して移動、回転、スケールの変化を行えます。
また機種によってはオクルージョンを機能させることができます
特段アプリケーションを必要としないのはAR体験としてのハードルを一気に落とし込み、ARを広げるよい糸口であると感じます。