先日家庭用ゲーム機大手のNintendoSwitchの新作ゲーム『マリオカート ライブ ホームサーキット』の開発会社のインタビュー動画が任天堂公式チャンネルから公開されました。
●マリオカート ライブ ホームサーキットHP
マリオカートライブホームサーキットは2020年10月中旬に発売されるゲームで、カメラが搭載されているラジコンをNintendoSwitchでコントロールしユーザーの現実の部屋で走らせることにより、Switch画面上にラジコンのリアルタイムの映像が映し出され、オーバーレイされたライバルカートやアイテムにより今までにない体験ができるマリオカートです。
このインタビュー内で『MixedReality』という単語が多々登場しており、今回は改めて『MixedReality』という技術に関してまとめてみます。
この記事では学術的な区別や解説は避け、MixedRealityデバイスアプリ開発を行っている筆者目線で『MixedReality(複合現実感)』を初めて聞いて調べた方が本記事にたどり着いたという想定でまとめます。
〇MixedRealityとVirtualReality
日本国内ではこれまで[MixedReality(MR)]という言葉を日常で聞く機会はごく稀です。
しかし[VirtualReality(VR)]に関してはUSJ、ハウステンボスを代表とするテーマパークではコンテンツのひとつとして取り入れられ、2016年以降一般向けVRデバイスが発売されたことにより一般に一気に普及しました。
●VirtualReality
VRは[仮想現実感]と訳される技術で、コンピュータが作り出したデジタル情報の中に人工的に[没入(現実)]を感じさせる技術です。
例えば、Microsoft社の[HoloTour]というアプリでは、自宅にいながらペルー、マチュピチュやパリ、ローマを観光することができます。
●HoloTour
実際に行けない場所でも簡単に行った体験が出来るだけでなく、デジタルであることを生かし通常できない地下埋蔵物を見ることや建設当時を再現した映像も2Dではなくまるで現実にそこに居るような見え方で見ることができます。
このようにVRは普段できないような体験をリアルに体感するととができます。 また、よくHMD(ゴーグル)のことをVRと差す場面が見られますが、厳密にはVRの定義にHMDは含まれておらず、VRという目的を実現する手段としてHMDが一般的であるためHMD=VRと言うような認識が出来上がってしまっている場合があります。
VRは体験したことはなくても「言葉は知ってる」という人は若者を中心に増えています。
これには近年放映されている人気アニメ作品にVR世界を舞台としたものがあるという点も大きく影響はあるでしょう。
先にVRに関して簡単にまとめます。
●近年放映されたVR世界を舞台にした人気アニメ
主人公は新作VRMMO(VRゲーム)「ソードアート・オンライン」発売日にVR世界内からログアウトすることができなくなり、『ゲーム内で死ぬと現実でも死ぬ』というデスゲームを攻略していくというファンタジー作品です。
この『ゲーム内で死ぬと現実でも死ぬ』という設定がある作品には[劇場版 名探偵コナン ベイカー街の亡霊]が挙げられます。
こちらもVR世界ならではの体験をしながら現実同様に『死』というリスクを抱えたデスゲームが舞台です。
・痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。
主人公はVRMMO(VRゲーム)のプレイヤー作成で「痛いのは嫌だ」という理由で防御力にステータスを全振りしたことで特徴的なプレイヤーとして仲間とともに活躍するファンタジー作品です。
●MixedReality
[MixedReality]は[複合現実感]と訳される技術です。
これは筆者の体感ですが、複合現実感というよりも「ミックスされた現実」とあいまいに説明するほうが理解されやすいように感じます。
VRと同じデジタル情報と現実の情報が交じり合った世界を体験できる技術です。
VirtualRealityが体験できる情報のうちデジタル情報が大半を占め、現実情報はユーザー自身の動き(頭の動きやコントローラー動作など)に限定されるのに対し、MixedRealityではユーザーの動きはもちろん現実の部屋や机、壁など現実情報が大半を占めその中にキャラクターなどの3Dオブジェクトなどのデジタル情報がオーバーレイされます。
あくまで現実のユーザーの身の回りを舞台に体験を構築するのでVR体験のような没入感はありませんが、VRとはまた違った使い方ができます。
例として、MicrosoftのMixedRealityデバイスMicrosoft HoloLensの事例では建築業等でのメンテナンスやトレーニング、医療での活用があります。
よく[MixedReality]に関してVRやARなどの上位互換のような解説を見かけることもありますが、技術的上下はありません。
筆者はそれらの違いに関してよく『カブトムシとクワガタの違いみたいなものでどっちも特徴があって人気でどっちも夏の代表的な虫』と表現しています。
〇マリオカート ライブ ホームサーキットの人気によるMixedRealityの広がり
今回発表されたマリオカート ライブ ホームサーキットの開発会社『Velan Studios』のインタビューでは、「何か新しいものを作る」というルールのもと作成したコンテンツがSwitchと相性が良いと感じマリオカートに落とし込んだと語っています。
その中でラジコンカーをビデオゲームの車のように操作する一環として現実世界とビデオゲームを結び付けるためにMixedRealityを用いたようです。
映像を見る限り、ガイドとなるゲートを配置、ラジコンで現実の部屋を走らせることでコースを作成し、競争相手となるライバルカートやアイテムはすべてMixedRealityの技術で現実の部屋に存在するように表示させているようです。
世界中に広く知られる任天堂のコンテンツとしてはこれでまでAR(Augimented Reality =拡張現実感)を用いたゲームはありました。
代表的なものに「ARゲームス」があり、ポケモンシリーズの[ポケモンGO]と合わさりARという言葉を広く広げた立役者となりました。
マリオカートという人気タイトルの新作として登場するマリオカート ライブ ホームサーキットの人気によって今後[MixedReality]という言葉はこれまで以上に広がると思われます。