本日はイベント枠です。
この9月に筆者はMicrosoft社の本拠点があるアメリカ、ワシントン州シアトルへ2週間ほど行ってきました。
この旅ではこの1月に解散してしまった元Microsoft社のMRTKチームの方々に合うことを目的として、Apple、Meta(旧FaceBook)、MagicLeap、クアルコムなどxR大手へ移り活躍されている方、Microsoft社へ残り活躍されている方、様々なエンジニアの方々にあってきました。
今回はまとめ記事になります。
〇MRTKチームの現在
MRTK(MixedRealityToolkit)はもともとはHoloToolkitとしてUnity向けにHoloLensの開発をサポートするパッケージとして登場しました。
当初からOSSで開発されており、SpatialMesh(空間認識)やInput、SpatialSpund(空間音響)、といったHoloLensの特徴的な機能を生かすことができるツールとして登場したもののやがてWindows Immersive Headsetと呼ばれるVR型のヘッドセットの登場によりHoloLensだけではなく様々なxRデバイスをサポートするべくMixedRealityToolkitとして名称変更、その後コミュニティなどの貢献も受け入れつつMetaQuestやiOSなどをサポートしたMRTKv2(第二世代)の登場、そして各パッケージの依存関係を解決し、より使いやすくまとめられたMRTK3(第三世代)が登場しました。
しかしながらMicrosoft社のHoloLensに対する力の入れ方の変化など様々な要因により、23年1月のMRTK3正式リリース直前にMRTKチームは解散、多くのメンバーはMicrosoft社を去ることになりました。
残ったメンバーはハード部門(Surface)とソフト部門(Microsoft Teams/Microsoft Mesh)に再編されました。
現在もMicrosoft社に残っておりMRTK3のグラフィックパッケージであるMixedRealityGraphicsToolsのリーダーでもあるCameronさんとMRTKやHoloチームの拠点であったStudioCでお会いしてきました。
StudioCはAlexKipmanのオフィスがあった建物でもあり、現在もHoloLensの垂れ幕やガラスの模様、HoloLensにかかわるグッズがありました。
現在はパンデミックの影響によるリモートワーク増加の影響なのか、チーム解散による影響なのか以前に比べとても静かであるといっていました。
〇各地で活躍されるMRTKチームメンバー
MRTKチーム解散後、チームメンバーは別の会社を含めあちこちへ行きました。
今回の旅ではStereoKitの開発リーダーのNickさんに会ってきました。
彼はSeattleの北にあるballadeという地域に住んでおり、とても素晴らしい環境の中StereoKitのデモを見せていただきました。
私はグラフィック方面に力を入れたいと感じているため「どうしたら強つよに慣れるか?」ということを聞いたところ「PS2など昔のゲームを研究すること」と教えていただきました。
現在の技術の根幹は昔のゲームの工夫などから発展しており、マシンスペックも彼に言わせたらHoloLensのチップですらスーパーコンピューター並みの時代からビデオゲームはあり、様々な人の工夫で成り立っているとのことでした。
また多くの元MS社のMRTKメンバーはSeattleの地域に住んでおり、つながりは強く、今でも突発的にランチが開かれているそうです。今回は私の滞在期間中にランチ会が発生し、私も参加しました。
メンバーはNickさんに現在はMagicLeap社で活躍されるGraceさん、GraceさんはMRTK3のプロジェクトマネージャーとしてチーム全体を指揮されていた方で、MRTK3のビデオなどでもよく出演されていた方です。
次のメンバーは現在Unityで活躍されているRogerさん
RogerさんもMRTK3のビデオに出演されており、チームではプラットフォームの拡張の取り組みをされていたそうです。 カービィやゼルダなど日本のゲームが大好きでゲームの話もしました。
そしてMaxさん。彼は筆者と同世代ながら中国出身で大学でアメリカへきて、そのままMicrosoft社へ入社されチーム解散まで貢献されていた方です。現在はApple社でVisionPro関係の仕事をされているそうで、このランチのメンバーだけでも講演会などイベントを開いたら成り立ってしまうほどのメンバーで、VisionPro等まだオープンになっていない情報はもちろん話題に出ませんが、会話のながれもまるでパネルセッションを聞いているかのように楽しかったです。
同時期にUnity社のライセンス周りの問題が炎上騒ぎになっていたこともあり、ゲームエンジンや最適化などの話題もありました。
MRTKに関してMRTKv2の扱いに関して聞いてみたところ、『MRTKはMicrosoftの手を離れており、MRTKv2に関しても最長6か月間サポートがあるとなっているが、これはコミュニティメンバーによるサポートとなっており、iOSなどMRTK3が対応していないor既存プロジェクトに関しては引き続きMRTKv2、新規プロジェクトに関してはサポートが充実するMRTK3を使用するほうが良い』と回答が得られました。
筆者も自身のバックグラウンドや日本のコミュニティについて共有しました。
メンバーの中には日本のxR企業へ転職を考えたかたもおり、スカウトがなければ日本へ来ていたかもと言っていました。
MRTKチーム解散後、チームメンバー個人に対し積極的にxR企業のスカウトがあったようでした。
今回は2週間現地に滞在し多くのことを学べました。また、HoloLensの今後に関しても現地で関係者に直接会い、話をすることでより理解を深められた気がします。
会う方会う方がI love HoloLensもしくは私のその言葉にMeetooと返しており、ランチを含めてもとても強いきずながあったと感じました。
また今回はお会いできなかった方で、MRTKのリーダーのDavidさんという方がいますが、聞いた話だと私が再びSeattleに来ることに対して「HoloMoto is great」とコメントしていたそうです。
多くの方々に覚えていただいていることもですが、私もMRTKチームの方と直接コネクションを持てることに感謝しています。