2019年の末にDigiGirlzというイベントでHoloLensのデモアプリを作成、アテンドをおこないました。
MRTKv2.2.0のPulseShadeを含む数多くの実験的機能を盛り込んだアプリに仕上がりました。
今回はDigiGirlzイベントのまとめ記事になります。
〇DigiGirlzとは?
中学生、高校生がテクノロジーのキャリアを学び、現場で働く人々との交流によってコンピュータとテクノロジーの実践的なワークショップの機会を提供するMicrosoft社のプログラムです。
今回、Microsoft社の製品を紹介したいという主催者の方々よりHoloLensをもっと様々な人に体験してもらって、わくわくする未来を感じてほしいと活動する私に声がかかりメンターとデモを行いました。
〇HoloLensデモアプリ
今回のイベントでは数多くの中高生とその家族、先生に体験してもらいました。
HoloLensの開発環境の一つを提供しているUnity technology Japanによって開発者にリリースされているユニティちゃんを用いた『Randy Rock Star』をベースにHoloLensの特徴を盛り込み、かつ体験しやすいアプリを目指しました。
●魔方陣effect
HoloLensの開発ツールである[Mixed Reality Toolkit]に含まれている3Dモデルを描画(表示)するためのプログラムである[MRTK Standard Shader]と3Dモデリング(自作の3Dモデル)を用いた召喚エフェクトを作成しました。
Animationを用いて魔方陣の回転、拡大縮小、色の変更を行っています。
●パルスが走る空間マッピング
今回デモアプリを依頼され、内容どうしようかと考えていた時に開発ツールの新しいバージョンであるMRTK 2.2.0がリリースされました。
2.2.0では実験的機能として[PulseShader]と呼ばれるものが含まれました。 HoloLensは周囲の壁や床などの物理的情報を取得して現実の壁や床にぴったり合うようにデジタルな壁や床を貼ります。PulseShaderはこのデジタルな壁や床にパステルカラーのパルスが走るという派手な演出を行うことができ、見ただけでHoloLensの空間認識を体験できるという理由で今回のデモアプリで採用しました。
●キャラクターの表現
今回[ユニティちゃん]、[SDユニティちゃん](スーパーデフォルメ=二頭身)、[ホロモンモデル]の3人のキャラクターを使用しました。
最初はSDユニティちゃんが出現し、踊り、一番の間奏でPulseShaderを用いてメッシュをばらばらに展開し、再構築されるようにリアルサイズのユニティちゃんが現れます。
PulseShaderは二種類リリースされており、それぞれ上記の空間マッピングに対してのPulseShaderとHoloLens 2のUI用(手で操作するための)のPulseShaderで、キャラクターにはUI用の[HandTriangles Shadre]を用いています。
名前や公式のドキュメントから本来の用途とは違いますが、実験的機能とのことで「やっちゃえ」という感覚で導入し、デモアプリで見せるという半分賭けのようなことをしました。
またこのHandTrianglesShedarはホロモンモデルの瞳表現としても利用しています。
ホロモンモデルは[ MRが楽しい ]というブログで毎日モデリングやMixedRealityなどの情報を発信されているホロモンさんのデジタルでの姿のキャラクターです。
今回のデモアプリを作成するうえでイベント前夜にフィードバックをもらおうと見ていただいたところ「自分も踊りたくなった!」という感想をいただいたので、踊っていただきました。
●HoloLensの特徴を生かしたデモアプリ
今回のデモアプリでは、ダンスを見るだけというHoloLens体験としてはインタラクティブではないデモでしたが、その反面HoloLensの特徴を理解しやすい体験を心掛けました。
その一つとして空間音響を用いています。
空間音響はHoloLensに搭載されている6基のスピーカーの音量差によって360°どこから音が聞こえてくるのかを直感的に理解できる機能です。
ダンスの動きを少し派手にすることで、視野角からキャラクターが離れてしまっても『音で場所がわかる』という仕組みを取り込みました。
もちろん音の体感は人によって異なるので、空間音響実装ではかなり派手に音の差をつけることを意識し、そのおかげもあってか全員がキャラクターを見失うことはなかったです。
また、HoloLensのAirTapという操作も最初の一回だけ、AirTapが成功したらダンスが始まるという形で取り入れることでHoloLensの操作に関して体験してもらいつつもストレスのある複雑な操作によって体験の感情グラフが途中で止まることを防止しました。
〇まとめ・感想
今回は中高生がメインとのことでとても貴重なデモアプリを作らせていただきました。
開発期間は実質3日ほどで、キャラクターの向きを変えることができない、シェアリングができないなど泣く泣くオミットした機能も数多くありますが、体験してくれた方々がHoloLens・MixedRealityという新しいテクノロジーとの時間を覚えて帰ってどこかで「あ、DigiGrilzのイベントで見たやつだ!」と思い出してくれれば100点満点かなと感じます。
また、アテンドではほかのHoloLensコミュニティーリーダーの方に手伝っていただきましたが、体験する人だけでなく列になって並んでいる人たちに対しての声掛けなど本当に学ぶことが多く感じました。
この体験はHoloRanger人生の中でとても貴重な時間です。
本当に感謝でいっぱいです。
HoloLensは新しいテクノロジーだからこそ、中高生に体験してもらうことは非常にお互いにって大切な機会と感じます。 今後もこのようなイベントが続き、増えてほしいです。