夜風のMixedReality

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コンピューターはアートを作れるか? SIGGRAPH2025基調講演 レポートその①

本日はその他枠です。

先月カナダで開催されたSIGGRAPHに参加をしました。

その中で基調講演としてAdobeのArron Hartzman博士による基調講演を受けました。

内容は完全に英語であり、筆者が捉えられた範囲でですが、備忘録も兼ねて記事に残していきます。

research.adobe.com

SIGGRAPHとは?

 SIGGRAPHはSpecial Interest Group on Computer Graphics and Interactive Techniquesの略であり、世界最大級のコンピューターグラフィックスとインタラクティブ技術に関するカンファレンスおよび展示会です。

 ACM(Association for Computing Machinery)が主催しており、会員が主に参加します。

 筆者はフルカンファレンスのパスで参加しています。

今回の参加が初めてであり、今回は個人で参加してきました。

 基調講演や各種セッション、コミュニティ、論文の他にもメーカー展示会、アートギャラリー(展示会)、CGアニメ作品の展示であるエレクトロニックシアターなどを体験してきました。

今年度はカナダ、バンクーバーで8/10~8/14まで開催されていました。

カナダバンクーバーのWaterfrontにあるConvention Centreで開催されました。

〇基調講演

Arron博士の基調講演は2日目の朝にCan Computers Create Art?というタイトルで開催されました。

s2025.conference-schedule.org

これは生成AIが普及し、SNSなどを中心に生成AIを使用した作品があふれています。

2024年には生成AIによって作成された絵が人類史において作栄された写真の数を超えたという調査も存在します。

journal.everypixel.com

 Xでも#AI絵師、#AIイラストな度を日常に目にすることになりました。

 このような時代においてコンピューターはアートを作れるか?というテーマは芸術の本質や現代社会に対して非常に重要な問いかけです。

 生成AIを使わないにしてもコンピューターによる作品は年々高度になっており、DisneyやPixerなどの映画を見ても非常にクオリティの高い作品が日常にあふれています。

 筆者は3DCGの世界に初めて入って10年近くがたちますが、「最近はCGとか使えば簡単にこういうのできちゃんでしょ?」という表現を耳にしたことがあります。ここ二年は「最近はAI使えば簡単にこういうのできちゃんでしょ?」という声を聴きます。(余談ですがGemini系のGoogleのCMなどで…)

 このようなコンピューター作品による問題は社会問題となることもあります。

〇AIの問題

近年の生成AI登場以前からDeepFakeによる問題が懸念されていましたが、生成AI登場によってより現実味を帯びています。 今一度AI作品による問題を上げてみます。

・権利関係(著作権、学習データ)

 ジブリ風イラストなどで問題になりましたが、学習データによる権利関係の問題が存在します。

・透明性の欠如

 権利関係に関連して、ユーザーがそのデータをすべて確認できないという点で透明性が欠如しており、ブラックボックス化しています。

・仕事の喪失

 イラストを描く、写真・動画を作るという仕事が一気に危ぶまれています。

 実際にSIGGRAPHであった人も「My job is Danger」と言っていたので最初は普通に物理的に危険な仕事をされているのかなと思いましたが、よくよく聞くとAIが仕事を奪っていると言っていました。

・努力の軽視

 生成AIは従来はセンスに知力や努力を重ねて実現できる作品の域に、簡単に到達してしまいます。 これは努力の軽視と言わざるえません。最も生成AIで狙った結果を出力するためには試行回数を重ねる必要はあります。

・技術がものをいう

 結局本人のプロンプト力も必要なものの、それをくみ取り実現する技術力がものをいう世界になっており、それはユーザーではなくサービス提供者の技術力になってしまっています。

これらが生成AI登場によるアート界の論争の一つです。

こうした世の中に対してAaron博士はこうした動きは今に始まったことではなく過去の動きの繰り返しである。と説いています。

その前に彼はアートの定義について触れていました。

続きは次回まとめていきます。