本日はイベント枠です。
6月の頭Microsoft社によるMixedReality関連のワールドワイドなイベントMRDevDaysが開催されていました。 昨日よりMRDevDaysで公開されたMovingPlatformModeに関するセッションを読み解いています。
昨日はMPMの基本的な概要と開発タイムラインを読み解きました。
〇Down Direction
通常HoloLensで描画されるホログラムは重力が下向きとして定義して配置されます。
この重力はIMUで取得された情報をもとに使用されています。
MovingPlatformMode(MPM)使用時は前回読み解いたように通常時環境カメラとIMUを併用して行われているSLAMとは別のアルゴリズムが動いています。
この重力があることによってアプリ内で力学的なインタラクションやアプリ内での方向の定義が決定しています。
通常この重力方向はアプリ起動時に調整されています。
MPM有効時は重力向きと実際の床の位置がずれることが想定されるためGravityではなくDown Directionという新たな軸定義で上書きしています。
Down Directionは加速度情報による向きに依存せず、環境が回転していても一定の値を返します。
〇Down Directionの設定
Down Directionの設定は2つの方法があります。
①自動調整 これは特に何もしないデフォルトの設定で、20秒間にわたる重力の値で計算されます。
②現在の頭の向きにより設定
これは設定アプリから行えるもので、現在の頭の位置を基準にDownDirectionを決定してます。
主導でDownDirectionを設定する利点としては宇宙空間での使用などあらゆる状況に対応できる点があります。
このような特殊環境下では、例えばある壁に対してDownDirectionを設定し、壁に対して平行にUIなどが配置されるようにすることができます。
また、宇宙空間などの環境的な特殊要因がなくても、例えば寝たきりの人なども自分に対してUIが水平に表示されるようにしたいといったアクセシビリティでの側面も持っています。
〇MPMを使用すれば無重力空間でもSLAMが使用できるか?
セッション内の質問では無重力空間で使用できるか?という質問がありました。
これに対しスピーカーのJoshuaさんはよい質問といい 可能であると、そして実際にNASAのようなパートナーとやり取りしながら前述のように宇宙ステーションで使用してたようです。
HoloLensデバイスがMPMの機能を使用している際デバイスの電源がオン人なった起動時にDonwDirectionを検索しており、測定された重力の値が一定値より下回っている場合手動でDownDirectionを設定するのと同様にユーザーの下向き方向をDownDirectionとして設定しています。
設計としては上記のようになっているそうですが、実際に無重力化での試験は行われておらず、Microsoftとしての正式に無重力で使用が可能というサポートはされていないようです。
〇寝ながらHoloLensを動作する。
セッションでは横になりながらのHoloLensの使用は『正式にはサポートされているものではない』と述べられていますが、今回筆者の環境で横になりながらHoloLens 2の使用を行ってみました。
DownDirectionを手動で設定することで、自身の重力的な立ち位置に関係なく重力方向を設定できます。
本日は以上です。
前回の内容でMPMはアルゴリズムを変えているという話がありましたが、これに加え基準となるDownDirectionを理解できたことで場合によって自動、場合によって手動でDownDirectionを設定することでよりあらゆる環境に対応したHoloLensが使えそうです。