本日はMRTK3&Shader調査枠です。
MRGTでは多機能高性能なGraphicsTools/StandardShaderが提供されています。
Unityなどで提供されているStandardシェーダーと比べ、前述のように機能が多く、使い勝手が良いのですが、ノーマルマップの影響(強度)を変えるパラメータはShader内部で変数自体は定義されているものの使用されていなかったため、今回使用できるようにしてNormalMapの強度を変更できるようにしました。
○MRGTとは?
MixedRealityGraphicsTools(MRGT)はHoloLensやMetaQuestをはじめとしてxRアプリケーション開発に役立つツールキットであるMixedRealityToolkitの最新版MRTK3で提供されるパッケージの一つで、グラフィックの機能がまとめて提供されています。
○NormalMapScale
前回はShaderで定義されているプロパティをUnityのインスペクタウィンドウからマテリアルのパラメータとして変更できるようにShaderGUIの編集を行いました。
MRGTStandardShaderではShaderGUIというC#スクリプトでUnity上の表示を管理しています。
今回はShader内部の処理を加えて形だけ存在していた_NormalMapScaleの機能を処理に組み込んでいきます。
○GraphicsToolsStandardInput.hlsl
GraphicsToolsStandardInput.hlslはMRGTStandardShaderで使用される変数やテクスチャなどを定義、格納するファイルです。
今回は200行目あたりにfloat _NormalMapScaleを追記し、プロパティで使用されている変数をShader内で使用できるように定義しました。
half _Metallic; half _Smoothness; float _NormalMapScale;//追加 // #if defined(_ALPHA_CLIP) half _Cutoff;
○GraphicsToolsStandardProgram.hlsl
GraphicsToolsStandardProgram.hlslはMRGTSandardShaderのメインの処理が記述されているファイルです。
ここでは600行目あたりのフラグメントシェーダーないのNormalに関する処理に_NormalMapScaleを計算後のworldNormalの処理に掛け算するようにしています。
// Swizzle tangent normals to match world normal and blend together. worldNormal = normalize(tangentNormalX.zyx * triplanarBlend.x + tangentNormalY.xzy * triplanarBlend.y + tangentNormalZ.xyz * triplanarBlend.z)*_NormalMapScale; #else #if defined(_URP) half3 tangentNormal = UnpackNormal(SAMPLE_TEXTURE2D(_NormalMap, sampler_NormalMap, input.uv)); #else half3 tangentNormal = UnpackNormal(tex2D(_NormalMap, input.uv)); #endif worldNormal.x = dot(input.tangentX, tangentNormal); worldNormal.y = dot(input.tangentY, tangentNormal); worldNormal.z = dot(input.tangentZ, tangentNormal); worldNormal = normalize(worldNormal) * (facing ? 1.0 : -1.0)*_NormalMapScale; #endif #else worldNormal = normalize(input.worldNormal) * (facing ? 1.0 : -1.0)*_NormalMapScale; #endif #endif
ここではURP用、ビルドイン用、TriplanerMappingを使用しているときの3種の場合で処理が分かれています。
TriplanerMappingとはUVを無視してテクスチャを張る処理を指します。
この場合もNormalMapが使用されるため3種の場合で処理を分けます。
これによってそれまで変数だけ定義されていた_NormalMapScaleを使用してノーマルマップの強度を変更できるようになりました。
本変更はすでにMRGTのリポジトリへPRを出しています。
マージされた場合今後のMRGTのバージョンから筆者の変更が使用できるようになります。
本日は以上です。