本日HoloLensの開発ツールであるMixedRealityの新バージョンMRTK2.6がリリースされました。
今回はリリース記事を見ながら変更点をまとめていきます。
〇新機能
・OpenXRプレビューの追加サポート
OpenXRはKhronos社によって提供されているオープン企画のxRプラットフォームです。
OpenXRを使用すれば、HoloLens 2のようなシースルーMixedRealityと、デスクトップPC用によるWindows Mixed RealityヘッドセットのようなVRデバイスの両方をターゲットにしたエンジンを構築することができます。
OpenXRを使用すると、一度コードを書いたものは、さまざまなハードウェアプラットフォームに移植することができます。
今回MRTKでサポートが追加されました。
UnityでのOpenXRは、Unity 2020.2以上でのみサポートされているとのことです。
・実験的機能としてSceneUnderstandingが導入されました。
旧HoloToolkit(MRTKv1)ではSpatialUnderstandingとしてSpatialMeshを処理し、より高度な処理を行う機能がありました。
MRTKv2.6以前はSceneUnderstandingとして別の機能として提供されていましたが、今回から実験的にMRTKに統合されました。
本ブログでも取り上げた内容なので近日中に2.6でのSceneUnderstandingを覗いていきます。
・HPモーションコントローラのサポート
MRTKではPCに接続するイマーシブなMixedRealityデバイス(VR)のアプリにも対応しています。今回[HP Reverb G2]のモーションコントローラーがMixedRealityToolkitに対応しました。
[HP Reverb G2]は従来のモーションコントローラーと少し異なる形状をしています。筆者は知らなかったのですがこのコントローラーに対応したようです。
・すべてのプラットフォームでのテレポートジェスチャーのサポート。
VRデバイスではHoloLensと異なり仮想空間上を移動する必要があります。
MRTKではOculusQuestなどのHandTrackingを使用できるデバイスにも対応しています。このようなデバイスでテレポート移動を行う際にジェスチャーを使用して移動できますが、今回MRTKに対応しているすべてのデバイスでこれがサポートされるようになったようです。
・ランタイムプロファイルの切り替え
MRTKではシーンに配置した[MixedRealityToolkit]オブジェクトのコンポーネントで構成を行い、それに応じて各デバイスごとの依存機能やプロジェクトやシーンごとの設定を行います。
MRTKインスタンスの初期化前[ Pre MRTK initialization profile switch]とプロファイルがアクティブに使用された後[Active profile switch]でプロファイルを変更できるようになりました。
・リーディングモード
HoloLens 2でのリーディングモードのサポートを追加しました。
リーディングモードはデバイスの視野角を一時的に犠牲にし解像度をあげます。開発者はこのトレードオフがユーザーに与える影響が人それぞれであるため、複数の個人でテストを行う必要があります。(これは開発者にとってそれが最適と思って使用していても、見え方、感じ方には個人差があるためある人には視野角を狭くして解像度を上げてそれがあるユーザーにとってはそれが良いものではない場合があるためです。)
・新しいSolver Graduations
SolverはUIの一つで、ユーザーにオブジェクトの位置や注目座標を示すことに使用されます。
今回新しく2つのSolverが実装されたようです。
・3Dアプリランチャーのサポート
UWP用の3Dアプリランチャーを設定する機能が追加されました。
この設定は[MRTK Build Window]と[MRTK Project Settings]の[Build Settings]の両方で公開されています。
この設定は、Unityでのビルド中に自動的にプロジェクトに書き込まれます。
従来は3DアプリランチャーはVisualStudioでデプロイする際にプロファイルを編集するか有志が作成したツールを使用する必要がありました。
3DアプリランチャーはとてもMixedRealityらしさが出る機能ですが従来は非常に工程が多かったため、これは非常に望まれていた機能と言えるでしょう
・ハンドコーチ(実験機能)
Experimentalの機能として導入されていた初心者ユーザーのジェスチャー使用を手助けするハンドコーチがメインのMRTKでも使用できるようになりました。
新機能は以上です。
今後MRTKv2.6も使用していきます。